江岸寺(こうがんじ)さんに着いた。
と言ってもプレハブの仮設のお堂。 副住職の大萱生 良寛(おおがゆう りょうかん)さんをはじめ、 間に入って調整して下さっている吉祥寺の住職、高橋 英悟(たかはし えいご)さんと良寛さんの弟、知明(ちみょう)さん、 檀家の総代の東梅(とうばい)さんもご一緒に、とても温かくお迎えして下さった。 良寛さん、知明さんは穏やかな口調で話されているが、当時の話しの悲惨さは筆舌に尽くしがたい・・・ ご自身も津波に呑まれながら一命を取り留めたけれども、 お父さんと息子さんを津波に流され今現在も行方不明。 地震と津波、そして火災とで寺はことごとく失われてしまった。 山の斜面にある墓地も薙ぎ倒され、熔けてしまった鐘楼の鐘が火災の激しさを物語っていた。 骨も灰になってしまって遺族も誰の骨なのか判らなくなってしまったとおっしゃっていた。 現在は仮設のお堂が建てられていたが、檀家さんや町の人が先祖を供養し 心の寄り処として手を合わせられる場所、そして仏様が欲しいと切望されていた。 多くの人が、様々な形で被災地を支援している中、 自分のやろうとしている事が必要の無いものとは思いたくはなかった。 大槌町を訪れ、江岸寺さんに「皆が集まって『祈る』仏様が欲しい」と言われて、 自分のやろうとしている事が無駄ではなかったと確信が持てた。 また、「忘れないで欲しい」という切々たる思いが痛いほど伝わってきた。 お墓のある山の斜面を登り、町を眺めた。 穏やかな海が冬の光りを受けてキラキラしていた。 斜面を降りて、本堂があった場所に立って空を見上げた。 大きく息を吸い込んで深呼吸をした。 たくさんの人の喜びも悲しみも苦しみも、涙も笑顔も、この町にあった何気ない日常も、 津波に呑まれ奪われた希望も夢も、すべて吸い込もうと思った。 深呼吸を繰り返しているうちに涙が出そうになってやめた。。。
by butuzohono311
| 2011-12-20 12:59
| 東北に仏像を・・・
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